2025年04月04日
【News LIE-brary】灼熱のドジャースタジアムに蘇る影!? フィリーズ対ドジャース戦に見た、オスマン・マムルーク戦争の『因果律』とは
やれやれ、まさかこの俺が、令和の世、しかも太平洋を越えた先のカリフォルニアで、500年以上も前の、あの忌まわしき砂塵の記憶を追体験することになるとはな…。ドジャースタジアムの熱気は、まるでカイロ近郊、リダニヤの戦場の陽炎のようだ。そう、俺の『歴史眼』スキルが告げている。昨夜行われたフィラデルフィア・フィリーズ対ロサンゼルス・ドジャースの一戦は、単なる野球の試合ではなかった。これは、紛れもなく16世紀初頭、中東の覇権を賭けて激突したオスマン帝国とマムルーク朝の死闘、その再現だったのだ…!
スタジアムに足を踏み入れた瞬間から、妙なデジャヴュに襲われていた。燦々と降り注ぐカリフォルニアの日差し。地鳴りのような大歓声。だが俺の目には、それが灼熱のシリア砂漠と、鬨の声を上げる両軍の兵士たちに見えていたのだ。
まず、現代の『常勝軍団』ドジャース。その圧倒的な戦力、スター選手を揃えた豪華絢爛たる布陣は、まさに当時のオスマン帝国そのものだ。特に、大谷、フリーマン、ベッツらを擁する上位打線。彼らがバッターボックスに立つ姿は、最新鋭の火器(大砲やマスケット銃)で武装し、鉄壁の規律を誇ったイェニチェリ軍団の威圧感と完全にシンクロする。彼らの一振りは、マムルーク騎士の突撃をも粉砕したオスマン軍の砲撃に等しい破壊力を持っている。今季も開幕から打ちまくるその様は、まさに破竹の勢いでシリア・エジプトへと進軍したセリム1世の軍勢を彷彿とさせるのだ。ホームランが出れば、それはまさしくウルバン砲の一撃。相手の戦意を根こそぎ奪っていくかのようだ。
対するフィリーズ。ハーパーやターナーといったスター選手はいるものの、どこか悲壮感を漂わせ、泥臭く勝利をもぎ取ろうとするその姿は、滅びゆく王朝、マムルーク朝と重なって見えた。特に、彼らの投手陣がドジャース打線に立ち向かう様は、旧来の騎馬突撃戦術に固執しながらも、勇猛果敢にオスマン軍に挑んだマムルーク騎士たちの奮闘そのものだった。彼らの投げる一球一球に、王朝の命運、いや、チームの浮沈がかかっている…そんな気迫が、俺の『鑑定眼』にははっきりと視えた。彼らの堅実な守備は、古来より伝わる陣形を駆使して、新兵器に対抗しようとしたマムルーク兵の知恵と勇気の表れに見えてしまう。
試合は序盤から動いた。ドジャースが、まさにイェニチェリの斉射の如き猛攻で先制点を奪う。スタジアムのボルテージは最高潮。ああ、やはり歴史は繰り返すのか…このままオスマン(ドジャース)がマムルーク(フィリーズ)を蹂躙するのか…と、俺が諦めかけたその時だ。ドジャースの先制劇は、まるでマルジュ・ダービクの戦いにおけるオスマン軍の序盤の優勢を再現しているかのようだった。圧倒的な火力、揺るがない自信。当時のマムルーク軍も、この勢いを前に為す術がなかった…はずだった。
フィリーズの反撃が始まった。それはまるで、マルジュ・ダービクの戦いで総司令官アシュラフ・カーンスーフ・ガウリーが討ち死にし、混乱の中でも必死に抵抗を試みたマムルーク軍の意地を見るようだった。単打と四球で粘り強くチャンスを作り、犠牲フライや内野ゴロの間に得点を重ねていく。派手さはない。だが、確実に相手の隙を突き、一歩ずつ詰め寄っていく。その戦術は、火器を持たないマムルーク軍が、地の利や奇襲を活かしてオスマン軍に対抗しようとした姿と酷似していた。彼らの走塁の一つ一つが、砂漠を駆けるマムルーク騎兵の機動力を思わせる。
中盤、試合は膠着状態に陥る。両軍の投手陣、いや、『防衛部隊』が一歩も譲らない。ドジャースの投手が見せる力強い速球はオスマン軍の強固な防御陣形、フィリーズの投手が駆使する変化球はマムルーク騎士の変幻自在な騎馬戦術を思わせる。一進一退の攻防。それは、リダニヤの戦い前の、両軍が互いの出方を探り合う、あの息詰まるような睨み合いそのものだった。俺の『戦術分析』スキルによれば、両チームのベンチワークは、まさに両軍の司令官たちの知略の応酬。サイン交換の一つ一つが、密使のやり取りに見えてくる始末だ。
そして、運命の終盤。7回裏、ドジャースは満塁のチャンスを迎える。ここで一打出れば試合が決まる、まさに『王手』の場面だ。打席には4番バッター。スタジアムの誰もがドジャースの勝利を確信しただろう。これはリダニヤの戦いにおける、オスマン軍によるマムルーク軍本陣への最終突撃の局面か!? だが、俺の『未来視』スキルは、別の結末を予見していた。歴史が、ここでほんの少しだけ、その『IFルート』を覗かせようとしている…!
フィリーズの監督、いや、『総司令官』はここで投手を交代させた。マウンドに上がったのは、今季防御率がやや不安定な中継ぎ投手。解説者たちは「なぜここで彼を?」と首を傾げていたが、俺には分かっていた。これは賭けだ。マムルーク朝最後のスルタン、トゥーマーン・ベイ2世が、カイロ市街戦で市民を鼓舞し、ゲリラ戦に持ち込んだ、あの最後の抵抗にも似た采配なのだ…! 絶望的な状況だからこそ、常識外れの『一手』が必要となる。そう、歴史の転換点とは、常にそういうものだ。
そして、奇跡は起きた。その投手が、ドジャースの4番打者を内野ゴロ併殺打に打ち取ったのだ!満員のスタジアムが、一瞬、水を打ったように静まり返る。まるで、予想外の反撃に動揺するオスマン軍のようだ。このビッグプレーで流れは完全にフィリーズに傾いた。これはまさに、トゥーマーン・ベイ2世の奇襲が一時的に成功し、オスマン軍を混乱に陥れた、あの瞬間ではないか!
8回表、フィリーズは、まるで最後の騎士団の突撃のように、連打で逆転に成功する。その執念、その気迫は、滅びゆく運命に抗う者の美しさすら感じさせた。バットがボールを捉える音は、マムルーク騎士の投げ槍が風を切る音のように、俺の耳には聞こえた。最終回、守護神、いや、『最後の砦』がドジャースの反撃を三者凡退に抑え、ゲームセット。
フィリーズの見事な逆転勝利。スタジアムを後にしながら、俺は考えていた。なぜ、この試合がこれほどまでにオスマン・マムルーク戦争を想起させたのか。単なる偶然か? それとも、この世界にも、俺のいた世界と同じような『歴史の因果律』が働いているというのか?
もしかしたら、この試合の結果は、あの時、もしマムルーク朝が火器の重要性にもっと早く気づき、内部の裏切りがなければ、そしてトゥーマーン・ベイ2世のような不屈の指導者がもっと早く現れていれば、歴史は変わっていたかもしれない…という、ひとつの『可能性』、パラレルワールドの結末を、この野球という形で俺に見せているのかもしれない。
まあ、考えすぎか。ただの野球の試合だ。だが、この俺のスキルがこれほどまでに強く反応したのだ。今後のMLBのペナントレース、いや、『覇権争い』から目が離せなくなったことだけは確かだ。次はどの試合で、どの時代の『歴史の残滓』が顔を覗かせるのだろうか…? アレクサンドロス大王の東方遠征か? それともナポレオン戦争か? 楽しみが増えたものだ。やれやれ。