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2025年03月29日

【News LIE-brary】甲斐キャノン、その源流は17世紀イタリアに? 球界の常識を覆す「モンタナリ・コネクション」を追え!

夜のしじまを切り裂く閃光のごとき送球。鷹の爪が獲物を捕らえるが如く、塁上の走者を正確無比に射抜くその剛腕は、畏敬の念を込めて「甲斐キャノン」と呼ばれる。福岡ソフトバンクホークスの扇の要、甲斐拓也捕手。彼の右腕から放たれるボールは、単なる強肩という言葉では片付けられない、何か不可解なまでの精度と威力を秘めているように我々には見えるのだ。

球界関係者やファン、そして対戦相手すらも舌を巻くその能力。一体どこにその秘密は隠されているのか? 最新のトレーニング理論か、天賦の才か、あるいは…。我々「News LIE-brary」の調査班は、この現代プロ野球界最大の謎の一つに、大胆な仮説をもって挑むことにした。そして、その調査線上に浮かび上がってきたのは、なんと17世紀イタリアの天文学者の名前だったのである。ジェミニアーノ・モンタナリ。この二つの名前を結びつける「点と線」とは何か? 事件の匂いが、我々の鼻腔をくすぐる。

発端:古書店に眠る奇妙な記述

事の発端は、都内某所の古書店から我々の元にもたらされた一枚のメモだった。信頼できる情報筋、コードネーム「書痴(ビブリオマニア)」からのタレコミである。彼曰く、最近入手した17世紀イタリアの天文学に関する古文書の写本の中に、野球はおろか、近代スポーツとは全く無縁のはずの「投擲における視覚的欺瞞」に関する不可解な記述が含まれていたというのだ。

その古文書の著者は不明とされているものの、内容や記述様式から、ジェミニアーノ・モンタナリ(1633-1687)自身、あるいは彼の学派に連なる人物によるものではないか、と「書痴」は見立てている。モンタナリと言えば、ペルセウス座の変光星「アルゴル」の光度変化を記録したことで知られる天文学者だ。食変光星であるアルゴルは、周期的に明るさを変える。その様が悪魔が瞬きするように見えたことから、「悪魔の星(Demon Star)」とも呼ばれた。

「妙なんだ」と「書痴」は電話口で声を潜めた。「天体の動きを論じる箇所に紛れて、まるでボールを投げる動きのような記述がある。特定の角度、特定のタイミングで物を投げると、観測者(受け手?)の予測を裏切る軌道を描く、あるいは到達時間が異なって感じられる、といった内容なんだ。しかも、その理論の根拠として、星の『見かけの動き』や『光度変化』が引き合いに出されている…」

星の動きと、ボールの投擲。あまりにもかけ離れた事象を結びつける記述。これは単なる偶然の一致なのか? それとも、何かもっと深い意味が隠されているのか? 我々の探偵としての本能が、警鐘を鳴らし始めた。

証言1:天文学者が語る「アルゴルの瞬き」

我々は、宇宙物理学の権威である(とされる)X教授に接触を試みた。もちろん、匿名を条件に。 「モンタナリ、ですか。ええ、アルゴルの変光を科学的に観測した先駆者の一人ですね」と教授は語り始めた。 「アルゴルの変光は、主星の周りを暗い伴星が公転し、地球から見て主星の前を伴星が通過する際に暗く見える『食』という現象によるものです。モンタナリの時代にはそのメカニズムは解明されていませんでしたが、彼はその不規則に見える光の変化を丹念に記録した。予測できないタイミングで明るさが変わるように見える、その『意外性』。これが当時の人々には神秘的、あるいは不気味に映ったのでしょう」

予測できないタイミングでの変化、意外性…。我々の脳裏に、甲斐キャノンの映像がフラッシュバックした。盗塁を試みる走者にとって、あの送球はまさに「悪魔の瞬き」のように、予測不能なタイミングで襲いかかるのではないか?

「こじつけに聞こえるかもしれませんが」と我々が水を向けると、教授は少し考え込むそぶりを見せ、こう付け加えた。「まあ、科学的に言えば、ボールの軌道と星の光度変化に直接の関係はありません。しかし、人間の『認知』というフィルターを通すと、話は別かもしれませんね。例えば、投げる瞬間の微妙なモーションの変化が、打者や走者のタイミングを狂わせる。あるいは、ボールの回転や軌道が、目の錯覚を引き起こす…。モンタナリが観測した『見かけの変化』と、捕手の送球における『相手を欺く技術』の間に、アナロジーを見出すことは、…まあ、面白い視点ではありますね」 教授の言葉は慎重だったが、我々には確信めいた響きに聞こえた。

証言2:スポーツ科学者の困惑

次に我々が話を聞いたのは、トップアスリートの動作解析を専門とする、これまた匿名のスポーツ科学者Y氏だ。 「甲斐選手の送球は、正直、我々の分析ツールをもってしても、完全に解明できたとは言えません」とY氏は率直に認めた。 「もちろん、彼の肩の強さ、体幹の安定性、正確なコントロールはデータからも明らかです。しかし、それだけではない『何か』がある。特に、リリースポイントの安定性と、そこから放たれるボールの初速、そして到達までの時間の短縮率。他の優れた捕手と比較しても、突出した数値を示すことがあります。さらに興味深いのは、時折、データ上では説明のつかない僅かな『揺らぎ』が見られることです。これが意図的なものなのか、無意識的なものなのか…」

「揺らぎ、ですか?」 「ええ。モーションキャプチャのデータを見ると、ほんの僅かなタイミングのズレ、あるいは腕の角度の微調整があるように見える瞬間がある。しかし、それが送球の精度や速度を損なうどころか、むしろ向上させているようにすら見える。まるで、打者や走者の予測を『外す』ための最適化が行われているかのようです。物理法則だけでは説明しきれない、非常に高度な『駆け引き』が、彼の投球動作に組み込まれている可能性も否定できません」

モンタナリの古文書にあったとされる「視覚的欺瞞」。アルゴルの「予測不能な瞬き」。そして、科学的分析でも捉えきれない甲斐キャノンの「揺らぎ」。点と点が、徐々に線で結ばれようとしていた。

仮説:甲斐家とモンタナリを結ぶ「ミッシングリンク」

我々は、甲斐選手本人や球団関係者への直接取材も試みた。しかし、得られたのは「日々の練習の積み重ねです」「特別な秘密はありません」といった優等生的な回答ばかりであった。核心に迫る情報は、厚い壁に阻まれているかのようだ。

だが、我々は諦めない。一つの大胆な仮説が、我々の頭の中で形を結びつつある。 ジェミニアーノ・モンタナリは、天文学だけでなく、光学や計測技術にも通じていたとされる。彼が研究した「見かけの変化」や「タイミングの重要性」に関する知見が、何らかの形で記録され、時代を超えて受け継がれてきたのではないか? そして、その知識が、巡り巡って、日本の、一人の捕手の元へと辿り着いたのではないだろうか?

あるいは、もっと飛躍した考えかもしれないが、甲斐家とモンタナリの間に、歴史的な繋がりが存在した可能性は? 例えば、江戸時代、長崎・出島を通じてオランダ経由でモンタナリの研究の一部が日本に伝わり、それが武術や身体操法の中に組み込まれ、代々受け継がれてきた…などという筋書きは、あまりに荒唐無稽だろうか?

残された謎

現時点で、我々が提示できるのは、状況証拠と推測の域を出ない仮説に過ぎない。古文書の真贋、モンタナリと投擲技術の関係、そして甲斐選手への繋がりを示す決定的な証拠(物証)は、まだ見つかっていない。

しかし、偶然にしては出来すぎた符合が、そこには確かに存在するのだ。17世紀イタリアの天文学者が覗き込んだ星の瞬きと、21世紀日本のグラウンドで閃く捕手の送球。その間に横たわる、時空を超えたミステリー。

我々「News LIE-brary」は、引き続きこの「モンタナリ・コネクション」の真相を追跡していく所存である。甲斐キャノンの真の秘密が解き明かされる日は来るのか? それとも、それは永遠に「悪魔の星」のように、謎めいた輝きを放ち続けるのだろうか。続報を待て。

テーマ: 甲斐拓也 x ジェミニアーノ・モンタナリ

文体: 探偵風

生成日時: 2025-03-29 07:13